クラシックへの回帰

3月某日、ここ最近の気分はクラシックな装いへの回帰路線である。制作の新人として現在の会社へ入社した2005年ごろは、業界としては珍しくクリエイティブ職であっても男性はネクタイ着用という不文律というか暗黙の了解があった。クライアント先に赴いて積極的に対面での打ち合わせをすべし、という企業風土があったためだが、元々いわゆるフォーマルなコーディネートは好きだったので、スーツないしジャケット&スラックスにネクタイ締めて、という服装で業務に励んでいたのである。

時は過ぎ、僕自身会社の雰囲気にも慣れてきたところで、少しずつ世の中の常識が変化すると共に装いも崩れていく。まずネクタイをしなくなる。朝に鏡の前で結び目を気にする事が無いので楽だし、仕事中もリラックスできる。次に特に夏場は靴下を履かなくなる(インビジブル化)。これも蒸れ蒸れの足元が心地よくなることこの上なし。そしてスラックスではなく、ある程度綺麗なシルエットのパンツを履くようになる。素材にもよるけど皺とか汗とか気にせず、履いたらすぐに洗濯できるのが良い。さらにスニーカーを履くようになる。雨を気にせず、靴磨きしなくて良いから本当に楽。で、暖かくなったらもうポロシャツで通勤するようになる。これがここ20年弱の変遷である。

数年前からのコロナ禍より、クライアントとの打ち合わせもリモート会議が増えてきたし、特にここ最近は世の中の勤め人の服装はとにかくカジュアルになってきていて、セットアップでもテック素材のやつなんかが台頭してきている。足元はニューバランスを見かけることが多いかな。いや、ニューバランスばかりだな。

周りがそうなってくると、元来天の邪鬼な僕はむしろゴリゴリのフォーマル路線に舵を取り(原点回帰)、ネクタイを締めるようになってきた。むしろ今はこれが少数派で差別化できるというもの。現在の好みとしてはドット柄やペイズリー柄のネクタイを結び目小さく、タブカラーシャツやレギュラーカラーシャツ&ネクタイピンなんかを合わせて気持ちを上げて出勤している(自己満足)。先日は久しぶりにスーツを買ってみたし(しかもダブルブレスト)。この夏は気合い入れて限界までネクタイを締めていたいと思っている。

年々暑くなる日本の夏に耐えきれず、汗っかきな僕は結局ポロシャツのお世話になると思うけれどね。


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