オッペンハイマー

3月某日、話題作「オッペンハイマー」のIMAX版を劇場で鑑賞する。広島・長崎の直接描写が無いから問題作とも評されているようだが、主人公の博士の一人称でいくつかの時間を超えて紡がれる物語であり、博士は実際の被爆地の惨状をスライドすら直視できなかったとされるので、あえて日本のシーンを入れずに表現しているのだろう。ノーラン作品ゆえの圧倒的な映像美にただ感嘆する。研究者としての探求と成果を戦場で使用されたことによる葛藤を余計な説明や解説をすることなく、淡々と進められていく3時間は「面白かった」という感想が陳腐な言葉にしかならず、見終わった後もひたすら考えるところが多い、鑑賞者の内面に訴えかける傑作だと思ったのだった。


Comments

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です