3月某日、凪良ゆうの2023年本屋大賞作品「汝、星のごとく」と、スピンオフである「星を編む」を続けて読み終える。率直な感想としては、ここ一年で読んだ作品の中ではずば抜けて良い物語であったと思います。彼女の作品はこれまで「流浪の月」と「滅びの前のシャングリラ」を読んでいて、どちらも作者らしい美しい日本語の一つ一つが紡がれていくストーリーが心に響いた良作だったのですが、本作「汝、星のごとく」もこれまた素晴らしいと感じました。表面的には瀬戸内の島の高校生2人の人生譚であるのだけれど、恩師にあたる人物が大きく関わってきていてもはや3人目の主人公と捉えても差し支えない。また、その3人の人生に関わる周囲のキャラクター描写もリアルかつ悲哀と情愛に満ちたもので、読み終えた後、僕も人(特に家族や近しい人)には常にやさしくありたいと改めて思った次第です。こんな作品に出合うと、自分も何か書いてみたいと思っちゃうよ、ほんの一瞬だけ。書かないけれど。
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