伊坂幸太郎「ペッパーズ・ゴースト」読了

リズミカルな文章の中で一風変わった登場人物たちが、これまたウィットに富んだ会話を繰り広げながら展開していく、伊坂作品ならではの一冊。

ファンタジー要素はあるものの、エンターテイメント性たっぷりのストーリーを数多く執筆している著者の作品はファンも多く、僕もその1人なのですが、なんだかんだで久しぶりに手に取りました(いや、実際は電子書籍だけど)。

例によってひと月半に一回のパーマネント中の読み物として買ったのですが、読む前の期待を裏切ることなく、一気に読み終えることとなりました。面白い。

まさに伊坂ワールド全開の一編と言えるでしょう。

島田荘司「御手洗潔シリーズ」

ここ2ヶ月ほどかけて、最新刊まで御手洗潔シリーズを読了しました。

1981年のミステリ傑作「占星術殺人事件」から足かけること40年以上続いている探偵ものの有名なシリーズです。

街の一風変わった事件から世界各国を舞台にしたスケールの大きい事件、また史実をベースに巧みなオリジナルエピソードを交え時空を超えた事件など、毎度ステージが変わって単なるシリーズ物の枠に留まらない作品群だと思います。

そんなバカな!という設定も多いのは事実なので、純粋な本格ミステリかどうかは意見が別れそうな作品もありますが、ファンタジー的な要素も含めた読み物として楽しく読み進める事ができるストーリーばかりと言えましょう。

まだ完結していないので、次回作が楽しみ。初代ワトソン役の相棒を日本に残して北欧に行ってしまっている天才探偵という図式は今後どのような展開になるのでしょうかね…

乾くるみ「イニシエーション・ラブ」読了

少し前の話題作「イニシエーション・ラブ」を読み終えました。

当時の単行本のカバーには「最後から二行目(絶対に先に読まないで!)で、本書は全く違った物語に変貌する」とあったらしい。それだけ煽るのであれば騙されないぞ、と読み進めてみましたが、最後の最後に「何だってー!」と二度見三度見してしまいました。作者にあっぱれ。

昔のトレンディドラマタッチのラブストーリーかと思いきや、確かにこれはミステリー小説にカテゴライズされるのかも。

まだ読んでいない人は読んでみる価値あり。映画にもなったらしいけど、それは知らん。活字だからこそ生きる物語じゃないかな。

「葉桜の季節に君を想うということ」読了

パーマネント中の一冊、ということで今回は歌野晶午著「葉桜の季節に君を想うということ」を読みました。

20年近く前の作品とはいえ余り古くささを感じることはなく、登場する人物同士の軽快なやり取りと共に情景を思い描きながら読み進めると、7〜8割方物語が進行した辺りで「何だって?‼︎」と騙されます。

2004年のあらゆるミステリーの賞を総ナメにしたらしい本作品は、叙述トリックが好きな人にはとてもオススメ。というかド定番で僕がこれまで読んでいなかっただけ。

寝不足って解消されないな。Somebody stop me…

「六人の嘘つきな大学生」読了

六週に一回、美容院で三時間かけて髪の毛をクルクル巻いている時のじっくり読書タイム。

今回は浅倉秋成著「六人の嘘つきな大丈夫」を読みました。就職活動を舞台にした学生たちの表の顔、裏の顔を見事に描き出した一冊。

みんなで一緒に一括採用されて同期入社しようと爽やかなチームとしてまとまっていく序盤から一転、内定の条件変更があり最終選考での突然の告発文の出現からどんどん暗黒展開へ突入しチームはあっさり瓦解。結局最後まで告発文が運良く晒される事が無かった学生1人が採用される。

そこから数年が過ぎ、当時告発文を準備した「犯人」が病気で亡くなったのを機会に、改めて当時の「事件」を振り返ってみると、調べれば調べるほど事実は全く異なっている?というのが詳らかになっていくストーリー。

たぶん、人間誰しも墓場まで持って行きたいような黒歴史が多かれ少なかれあって、それが就職活動という人生においてその後をある程度左右する中々の一大イベントで公に晒されるという設定が面白いのと同時に、自分に置き換えた時にとてつもない不安感に苛まれながら読み進められる感覚を味わえる。

それでいて、登場人物それぞれのの過去の暗い業に対して別の側面からの全く捨てたものでは無いというエピソードが披露されることで伏線を回収し、結末として「あぁ、良かったな」と思えるところまで印象を引き上げる事ができるのがこの物語の巧みな部分だと言えましょう。

僕は新卒時の就職活動をほぼ経験していないのですが、いま採用面接をする立場として学生側は良くも悪くも自分を着飾って面接に臨んでくるだろうし、企業側ももしかしたら実態よりも盛って魅力的な職場だと喧伝しているような面はあると思うので、色々と考えさせられる作品であると感じました。

月の満ち欠け

佐藤正午「月の満ち欠け」読了。端的に言うと4世代生まれ変わっても同じ相手を想い続ける女性と、その生まれ変わりを信じてずっと待ち続ける男性の物語。

時空を超えた究極の愛と捉えるか。それとも執着し続ける狂気とおののくか。それは読み手次第かも知れない。ちなみに今年映画化されるみたいですね。

以前読んだ「鳩の撃退法」もそうだったのだけれど、一対一の会話のシーンでの掛け合いが絶妙で、まるでその場にいるかのように引き込まれてしまい、時間を忘れて読み進められる作品。

場面の切り替わりでストーリーについていくのが少し大変な所もあるとはいえ、なかなか面白い一冊でした。

先週末に美容院でパーマをかけながら読み始め、休日出勤だの連日の深夜残業だのをこなしながらも読み終えてみて、やっぱりそこそこの読書家かも知れないと我ながら思うわけで、次は何を読もうかなとブックストア内を今夜も探索しながら家へ帰るのです。

舟を編む:読了しました

11月某日、『舟を編む』読了。

主人公をはじめとする辞書の編纂に関わる人と、作っているものは違えど「読者(ユーザー)が欲する情報を正しく伝える」という仕事に携わっている僕も、情熱と信念を持ってモノづくりに励まねばならんな、と改めて思うのです。

なかなか良い本に出会えた。

季節はもう完全に冬になりつつあるようで、朝晩はかなり冷え込んでいます。もう薄手のコートあたり着ても良さそう。

鎌倉の紅葉はそろそろ見頃なのでしょうか。今年は仕事絡みの事情があって自然をテーマに写真を撮らなくてはならず、休日にカメラを持って外へ出たいのですが、休日出勤も重なりなかなかタイミング合わず…。

ちなみに海も穏やかなので、波乗りも出来ず、ただ悶々粛々と日々を過ごしているような気が。これじゃいかん、何とか打破せねば。