森博嗣「オメガ城の惨劇」読了

2月某日、森博嗣の「オメガ城の惨劇」を読み終える。例によってすでに3月も終わりだけれど、先月のお話。これまでの何らかのシリーズに属するものではなく、シリーズ外の作品という位置づけのようだが、サブタイトルにもあるようにサイカワ先生は出てくるし、マガタ博士も実際にほんの少し登場するので、S&Mなどを読んでいるで読者にとっては馴染みのある世界観と言える。

序盤でどこかの海外が舞台なのかと勘違い(あるいはミスリード)していたのだが、途中で例の研究所らしき建物が出てきて、あれもしかしてあの島のことかしら?とイメージが追い付いてから以降は、過去に読んだ各シリーズのエピソードを思い出し、非常に面白く読み進めることが出来た。

絶海の孤島の城で連続密室殺人(というか同時に4人)という設定だけをみると、最近の森らしからぬ本格ミステリィなのかと思うところだが、あっと驚くようなトリックを弄する仕掛けではなく、一人ずつ死んでいくのが恐怖を誘う、ありがちな連続殺人という枠組みについてはあっさり非効率と切り捨て、一気に4人の殺人が起こるという内容は非常に理屈が通っていて、作者らしさが存分に味わえる作品だと感じた。

まぁ、本作で描かれているサイカワ先生については「あれおかしいな、むしろあいつみたいだな」と疑いながらページをめくっていたので、最終的には「ほれ見たことか」と思ってしまったのは僕だけではないだろう。長く待ち望まれているGシリーズ最終巻「ω(オメガ)の悲劇」を放置して、思わせぶりに本作を刊行してしまう作者に僕はいいようにもてあそばれているに違いない。

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です