12月某日、森博嗣のVシリーズ全10作品を読み終える。同じく森の「S&Mシリーズ」はだいぶ前に楽しみながら読んだのですが、このVシリーズは劇中の登場人物も異なり、結構珍しい名前のキャラクターが多いようだったので食指が動かないまま時間が経過していました。最近まで読み漁っていた佐藤正午作品にひとまず区切りがついたので、ふと思い立って試しにVシリーズの1作目を読んでみたところ、主人公(探偵役)とその仲間たちだけでなく脇を固める警察陣や犯人、被害者まで、名前だけではなくそれぞれ一癖も二癖もあるキャラが勢ぞろいで、あっという間に楽しく読むことができました。あとは続けて2作品目以降もシリーズ一気読み。
シリーズ後半で以前のシリーズ(S&M)との交わりがあったり、最後の10作品目では、例の「天才」の影がちらりと出てきて新シリーズへの布石となるなど、森作品を読んだことのある読者にとってエンタテインメントとして楽しめる仕掛けがたくさんある作品群でした。推理小説として純粋に犯人や犯行方法、動機を考察する読み方をしたり、トリックの粗を探すような無粋なことはせず、やはり理系のアプローチから「よくもまぁこんなプロットを考えたもんだ」と楽しみつつ、個性的な登場人物のやり取りや内面描写に笑ったり共感したりしながら読み進めるのがよいでしょう。
そして僕は「四季」4部作へと進んでいく。
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