2月某日、ヘルシンキ・ヴァンター空港(フィンランド語:Helsinki-Vantaan lentoasema)に降り立ち、入国審査エリアへ向かう通路の窓から見えた初めてのフィンランドの天気は想定外にも雨。いや、若干みぞれ気味といったところだろうか。
季節は2月中旬、フィンランドの長い冬の中でも特に寒い時期だろうと覚悟しつつ、むしろ白銀の世界に心を踊らせるつもりだった僕は、拍子抜けをくらった気分で到着ロビーのスターバックスでホットのラテを注文し、別便でやってくる妻を待つことにした。
フィンランドは世界で最もコーヒーを消費する国の一つらしい。これは後になって気づいた事だが、マクドナルドと同様、スターバックスも世界中どこへ行ってもあるのかと思いきや、首都であるヘルシンキ市内でも全然見当たらない。いや、本当にほとんど無いのだ。
どうもフィンランドだけではなくその他の北欧諸国でもスターバックスは未だ余り出店していないようだ。そもそも昔から浅煎りのドリップコーヒーを事ある度に飲むという文化があるようで、家でも会社でも常にコーヒーメーカーが稼働していて、それを飲む時間を大切にしている人々だというのだ。もしかしたらそのような文化が既に根付いている事もあって、大手のチェーンであるスターバックスが進出するのが遅れているのかも知れない。その分、ロバーツコーヒーやエスプレッソハウスといった北欧チェーンが街中に多く出店している。
そんなコーヒーを楽しむ国、フィンランドに行くからには、現地のコーヒー文化に是非とも触れてみたいし、旅に出る前に読んだガイドブックによればフィンランドにもコーヒー文化のサードウェーブとやらが起こっている模様との情報もあって、コーヒーをこよなく愛する僕の旅の目的の一つを、こだわりのコーヒー(それと名物のシナモンロール:korvapuusti)をいただけるお店を回ろうという事にする。
ちなみにフィンランドへ行く前の心構えとして、ムーミンとかかもめ食堂といったお決まりの日本人観光コースには余り興味が無いが、マリメッコのウニッコ柄はさほど嫌いじゃなく、アラビアの食器は日用品として愛用しているから工場には行ってみようか、そんなテンションでの旅。
当然といえば当然なのかも知れないが、現地でまず初めに飲んだ空港のスターバックスのラテは、日本で飲むそれとさほど印象は変わらない。チェーン店というものは、どこでも安定感のある味を期待できる反面、没個性であり、新たな発見や楽しみ、ドキドキ感はどうしても薄れてしまうと改めて実感。
ラテを半分ほど飲んだタイミングで妻も到着し、合流。そうそう、別便で来たのは理由があって、僕はJALのマイレージを使って特典航空券を入手したのだが、妻は同じ便が満席で取れなかったため30分ほど遅れて飛ぶフィンエアーでのフライトだったのだ。ちなみに帰国の途も別便。現地集合・現地解散の海外旅行である。そんな、いい意味で柔軟な対応ができる夫婦というのも面白い。
空港からバスに乗ってヘルシンキ市内へ向かい、ホテルに到着する頃には日も暮れていた。さすがにその時間だとコーヒーをゆっくり楽しむというよりビールを飲みたくなる。フィンランドはビールも大好きなお国柄らしく、スーパーには国産ビールが所狭しと並んでいる。コーヒーとビールを愛する人々なら、遠い異国の地でも何となく分かり合える気がする。少し悩んで熊のイラストが描かれている缶ビール(KARHU)にした。旅の初日はホテルの部屋飲みで終了したのであった。
次回、ヘルシンキ:コーヒーを巡る旅 vol.2 は早朝から焙煎所併設のカフェへと向かいます。
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