5月某日、確認申請までに手間がかかった理由その2。
自然がたくさん残されている鎌倉。市内の約55.5%が「風致地区」というものに指定されています。風致地区というのは何も鎌倉だけに限らず、全国にあるようです。ちなみに初めて指定されたのは東京の明治神宮周辺だとか。相当土地の開発が進んだ日本でも所により、たとえば神社仏閣の周囲とかに緑が残っているのはこの制度の影響があるのかもしれません。
で、鎌倉市に話を戻すと、ただでさえ三方を山に囲まれ、残すは海という地形なのにその市内の半分以上の面積が風致地区ということになります。風光明媚な鎌倉ならではかも知れません。
僕らが買った土地は、長谷の鎌倉大仏近く。当然風致地区(第2種風致地区)に指定されています。風致地区内で建築物の新築・増改築などを行うときは、建築確認申請の提出前に風致地区行為の許可を鎌倉市長からもらう必要があります。いくら自分の土地でも好き勝手な建物を建てることはできません。
第2種風致地区での許可条件は、まず「建築物の位置、形態、意匠(色彩、材質を含む)などが周辺の風致と調和すること」。これは依頼しているビルダーさんの建てる家のテイストで問題ないでしょう。先鋭的な設計を施した近未来的な家だともしかしたら却下されるかもしれません。
次に「建築物の高さ8m以下、建ぺい率40%以下、壁面後退距離(セットバック)が道路に接する部分で1.5m・その他の部分で1mという基準に適合していること」。これは土地を購入する時点で不動産屋から重要事項としても説明をされます。
第一種低層住居専用地域なので建築物の高さ10m以内、建ぺい率40%・容積率80%という指定がありましたが、さらに高さを2m抑え、敷地境界線から1m離した建物でなければ許可は下りません。
道路からのセットバックについては、僕らの土地は旗竿状の土地ゆえに、道路に接する部分からは確実に1.5m以上離した状態でなければ建てられない土地なので、あまり気にする必要はありませんでした。しかし四角形の整形地であれば、敷地入り口から建物まで1.5m以上のアプローチが必須になります。
さらに「敷地内に木竹が存在しない場合は、風致の維持に必要な植栽等を行うこと。 高木、中木、低木、生垣等により敷地面積の20%以上の植栽をする」。これ少し厄介です。家を建てて住む前から植栽の計画も建てなければならず、しかも敷地面積の20%って結構な面積になります。
※ちなみに植栽計画で留意すべき点は、
- 植栽面積(敷地面積の20%)10平方メートルあたりに高木1本、中木2本、低木1平方メートルの割合で本数を確保する。敷地面積に換算すると、50平方メートルあたりに高木1本、中木2本、低木1平方メートルの割合
- 敷地境界の2方向、できる限り道路側に生垣を設置する
- よう壁等構造物には、つた等をはわせる
- 樹木だけでは20%に足りない植栽面積分は、芝生等で補うことも可
以上のことをふまえ、土地利用に合わせた植栽計画をたてる、だそうです。
風致地区の許可条件の最後に「建築物が周囲の地面と接する位置の高低差が6m以下であること」とあります。これはどうなんでしょう。最高地点が8mで周囲が6mだったらその地区全ての建物が寄棟の屋根になってしまうような。現在既にこの地域に建っている建物の傾向から見ても、周辺の風致と調和した美しい家としてちゃんと申請すればこの点はOKなのではないでしょうか。この条件は良くわかりません。僕らの家も片流れ屋根の設計ですが、設計担当Eさんが市役所窓口で少し説明をしたら申請を受理してくれたようです。
風致地区内行為の許可申請審査期間は2週間ほどだそうです。5月25日現在、まだ審査をパスしていませんが、もうすぐ許可が下りて建築確認申請になるという状況です。